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―にとべさん―

 

風通しのよい物語

柴崎友香『待ち遠しい』(毎日文庫) 柴崎友香『待ち遠しい』(毎日文庫) 夫を亡くしたばかりの63歳の女性の、「夫婦」というものについて語る下記のセリフが物語の序盤にある。 「そういうことじゃないのよ。好きとか、好きじゃないとか、それとはもっと違う…

新しい宝物

津村記久子『水車小屋のネネ』津村記久子『水車小屋のネネ』(毎日新聞社)とてもあたたかい物語だった。 167頁にある藤沢先生の言葉に、そのたった2行の言葉に感動し、この482頁の物語は傑作に違わないと確信する。 読み終えたとき、本がつぶれてしまうほど…

久しぶりの一乗寺

出町柳で飲むまえに一乗寺まで足をのばして恵文社一乗寺店へ。 ずっと気になっていた『思い出す、書き残す―山田稔・黒川創トークイベント記録』(恵文社一乗寺店発行)と、「十七時退勤社」という魅力的な名前の個人出版レーベルが発行する『製本と編集者』の…

平民金子

平民金子『ごろごろ、神戸。』 たまに平民金子の文章をむしょうに読みたくなる。 ありえたかもしれない人生について想像する時は甘美な光景ばかりが浮かぶのに、実際にあった日々の中には痛みだけがあった。「クソみたい」そうつぶやいた私の胸に抱かれて、…

2022年上半期ベスト5

2022年上半期ベスト5 早いもので、もう7月になってしまった。 そこで、2022年上半期に読んだ本の中からベスト5を選んでみました。なお、リストは読んだ順です。1.『数学する身体』森田真生(新潮文庫) 2.『プカプカ 西岡恭蔵伝』中部博(小学館) 3.『銭湯…

滝口悠生『長い一日』(講談社)

滝口悠生の作品の中でいちばん好きかも。なんだかんだで二週間ほどかけて読んだけど、その間ずっと幸せな気分だった。 ほんとに良い時間やったなあ。

深緑野分『戦場のコックたち』(創元推理文庫)

この類いの小説はあまり読まないが、この作品はとてもおもしろく読むことができた。一般的にはミステリーに分類されるようだが、個人的にはその部分より、戦場で人間の精神が徐々に蝕まれていく描写を興味ふかく読んだ。 ただ片仮名を覚えるのは、やっぱり苦…

佐久間文子『ツボちゃんの話』(新潮社)

たぶん佐久間さんは相当の覚悟をもってこの本を書かれたのだろう。こうして坪内さんのことを語ったものや、ご自身が雑誌などに発表した文章がまとめられ、それを読めることは嬉しい反面、そうしたものが出るごとに、坪内さんの不在がどんどん確かなものにな…

ロングウォークのマンスリーブレンドとチャイプリン

ある古本屋の閉店セールで買った本のリスト

近所の古本屋が一か月ほど前から閉店セール(店内商品すべて100円。例外なし!)をやっていたので(昨日6日で閉店)、まめにのぞいて少しずつ買っていたら、全部で12冊になった。硬軟とりまぜ、いい感じになったんじゃねえ、と自分では思っている。 『忘れな…

盂蘭盆会

今日は実家の網戸を洗うつもりだったけれど、嫁さんの「この暑さのなか、むちゃしたら倒れまっせ~」との忠告にしたがい中止し、お寺さんの初盆のお参りのあと、寿司を食べて弟の供養をする。夜、『山田稔自選集3』を読む。

25年前の小説に現代をみる

今では疫病だの流行病といったもの、それ自体が、流行遅れになってしまった感がある。いざ新しい疫病が流行りだしたとき、対応する知恵を人々は身につけているのだろうか。いや、人々だけではない。役所や病院も迅速に手を打つことができるのだろうか。 脳炎…

読書メモ

森内俊雄『道の向こうの道』(新潮社)を読んで気になったところをメモしておく。 43〜44ページ 五月になった。わたしは「車」という詩の同人誌を創刊した。巻頭詩として、大阪YMCAの「詩のクラブ」で知遇を得た詩人港野喜代子の作品を掲載した。その詩は、…

そっと心に

心斎橋JANUSへ川村結花のライブをみにゆく。好きと思っているミュージシャンは何人かいるが、自分の心にいちばん長く寄りそってくれているのは、やはり彼女の音楽だと思う。だからいつも心の中にそっとしまっておきたい。わけあって少し緊張していたこともあ…

灯りのない提灯

「ちょうちん通り」を見てみたいという友だちと裏天満へゆく。夕暮れどき、狭い路地を抜けて「ちょうちん通り」にたどり着くと、確かにたくさんの提灯をぶら下げてはあるが、灯りがともっていない。下から覗きこむと電球もない。どうやら空の提灯をぶら下げ…

よみぞめ

年が明けてすぐに松家仁之『光の犬』(新潮社)を読みはじめ、昨夜に読了。外出するときも持ち重りのするこの本を常にたずさえ、寸分を惜しんで読みついでいた。長く濃密な文章で時間がかかったけれど、読んでいてとても気持ちの良い文章だった。今まで気にな…

復活バナナホール!

以前あった場所から徒歩3分のところに復活したバナナホールへ『ビギンのマルシャショーラ2』リリース記念ライブを観に行ってきた。 マルシャのリズムに合わせ、90分間歌いつづける彼らの姿をみて実感したこと…… それは、まえのバナナホールでやってた頃のB…

ともだち

うららかな空のもと、数年ぶりに会う友だちと長居植物園でデート。 ぶらぶら歩いたり、木陰のベンチに座って缶コーヒーを飲んだりしながら3時間半もしゃべる。 別れ際、どうでもいい話ばっかりやったな〜と言って、わらいあい、手をふる。 陽はかたむき、ほ…

鶴見俊輔さんのこと

鶴見俊輔さんが亡くなられた。いつかはと覚悟はしていたが、しかし実際にその報に接し、思いのほかダメージの大きいことに自分でも驚いている。もちろん鶴見さんとは直接の面識はない。けれど、鶴見さんの著書や言葉、そして行動からは多くのことをさずかっ…

一箱古本市

岡崎武志さんが一箱古本市への出店者としての卒業を発表された。2005年に岡崎さんが谷根千の一箱古本市に初めて参加されたとき、ぼくはその横に箱を並べて売らせてもらった。そのとき、大阪から単身参加のぼくのことを気にかけ、岡崎さんは空き時間を使い、…

ほんとは飛んでいきたい

ぼくの大好きなミュージシャン、おおはた雄一。 彼も今日でデビュー10周年を迎えるそう*1。 それを記念して今夜、吉祥寺のキチムでライブがあるけれど、残念ながら東京までは行けない。 ぼくは大阪で彼のCDをいっぱい聴いてお祝いしようと思う。はやく大阪…

なんでも話せるひとが、ひとり居ればいい

今日は友だちとの新年会。ちょっと早めに家を出て、待ち合わせの駅前のブックオフに寄ろうと思ったが、車中で読んでいた荒川洋治『文学のことば』がおもしろかったので、改札を出てすぐのカフェに入り、続きを読む。やっぱり荒川さんの散文はいいなあ。 約束…

大切なものたち

夕方、父が入居している施設へ行く。ケアマネさんにちょっと頼みごとをし、居室で父となんでもない話をする。もし父が健康なら、こうしてゆっくり話すこともないんだろうな、なんて最近は思ったりする。これも神様がくれた大切な時間なのかもしれない。 帰り…

春の歌

毎年楽しみにしている、風車のシューリップを観に行ったけれど、ちょっと遅かったようで、もう他の花が植わっていた。 今年は観られなかったかあ。残念……。 それでも春を満喫できたから、良しとしよう。 「花と緑の博覧会」跡地なので、こんなものもあります…

夫婦の会話

相方には毎月のように一緒に遊びに行く友だちがひとりいる。今週末もふたりで京都へ行くらしい。それを聞いたぼくが、「そういう親しい友だちがいて良いなあ。ぼくにはそんな風につきあえるひとはひとりも居てないなあ。」と云うと、相方がこう云った。 「あ…

お茶をにごす

なかなかブログの更新ができない。いかんなあ。上は夏の風景。冬は、……こうなります。 最近はもっぱらこれを聴いている。発見アーティスト: MONSTER大陸出版社/メーカー: apart.RECORDS発売日: 2013/02/13メディア: CDこの商品を含むブログ (1件) を見る踊れ…

中崎町散策

午後、寒風ふくなか娘と中崎町を散策する。 昔の街並みが残る、迷路のような路地をさまよい歩いていると、まるで異空間に迷い込んでしまったような気分になる。 今でも日常の生活をおくっている民家があるいっぽう、あちらこちらにオシャレなカフェや古着屋…

寂しい知らせ

「貸本喫茶ちょうちょぼっこ」から年賀状が届く。そこには、ちょうちょぼっこの活動を一旦終えるとの寂しい知らせが……。 いま読んでいる山本善行著『定本 古本泣き笑い日記』に、 このあと、にとべさんと、貸本喫茶ちょうちょぼっこに行こうということになっ…