2022-10-17 平民金子 平民金子『ごろごろ、神戸。』 たまに平民金子の文章をむしょうに読みたくなる。 ありえたかもしれない人生について想像する時は甘美な光景ばかりが浮かぶのに、実際にあった日々の中には痛みだけがあった。「クソみたい」そうつぶやいた私の胸に抱かれて、子供はいつの間にかおだやかに眠っている。(「私の東京」より) 平民金子は物事の本質を柔らかな文章で書きあらわし、それを読んでいると心地よく、心穏やかになる。「これは最早文学だ!」などと云うつもりは毛頭ないけれど、とても気持ちのよい文章だと思う。ただ、ひとつ残念なのは平民金子の本が、まだ一冊しか出ていないこと。平民金子さん、次の本を早く出してください!