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―にとべさん―

 

本との距離感

坪内祐三『四百字十一枚』(みすず書房)より

私の場合、書評によってその刊行を初めて知る本は少ない。
だが、もちろん、書評で初めて知る本もある。それが興味ある本だとしても、私は、メモを取ったりしない。
記憶の奥にしまい込み、書店でその実物に出会った時に、ああそういえば、と思い出す。


ふらっと入った本屋で、出ることをまったく知らなかった大好きな著者の本を、おおっ、と見つけて買う、というのが究極の理想だけれど、これだけネットが普及して情報伝達速度が速くなると、もうそれもちょっと無理だし、現実的には、これくらいの本との距離感が理想かな。