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―にとべさん―

 

空を集めてみる

6月14日の空

いま読んでいる、武田泰淳『政治家の文章』(岩波新書)に次のような一節があった。

二葉亭四迷に『平凡』という題の小説がある。彼は、平凡なことを平凡に書いて、日本文学に新しい分野をひらいた。あまり肩いからせて「非凡」ばかり追いかけ、庶民の実生活を忘れる時代にあって、「平凡」な現実を、何のてらいもなしに描写することが、それだけで有意義だったのである。いわば、うそいつわりのない一人間の「平凡」を描きつくすことが、彼の「非凡」の才能を必要としたのであった。

小説と同じく、「平凡」な日常を日記に書くためには、「非凡」な筆力(才能)を必要とする。だから、この〈ちゃりんこ日記〉も突然、更新されない日が続いたり、こうしてお茶をにごす日があったり……


しかし、日々の生活で本当に大切なのは、ごく平凡な日常を続けることでもある。