悪は勝つ
レンタルしてきた映画版「白い巨塔」(1966年)を観た。これがめっぽう面白かったのだ。テレビ版とは違い、2時間30分という時間の制約の中で作られたモノであるため、医学部内でのドロドロといした権力闘争をメインにすえてある。また結末もテレビ版とは違い、財前が勝ち、里見は左遷され大学を去る。「悪」が勝ち「善」が負けるという、世の中の現実を突きつける形で物語は閉じられる。
出演者をざっとあげてみると、田宮二郎、東野英治郎、小沢栄太郎、加藤嘉、田村高廣、下絛正巳、船越英二、滝沢修、加藤武、石山健二郎、藤村志保、小川真由美という、シブく懐かしい面々。ただ、全編で使われている大阪弁が変だった。まともにしゃべれてる人が居なかった。
物語の本筋とは関係ないが、何かにつけ、やたらタバコを吸うシーンが目に付いた。今となっては考えられないことだ。時折映し出される大阪の街の風景も、当時のモダーンな雰囲気を感じ取ることができて興味深かった。大阪駅前が映った時、ボクが若い頃にまだあった、駅前の闇市の残影を思い出し、懐かしかった。
冒頭と本編で出てくる手術での開腹シーンが、あまりにもグロテスクかつ、美しく*1、強烈に印象に残ったので、調べてみると、どうやら本物の手術映像が使われているようだ。それを知ると、ちょっとブルッとくる。
東都大学医学部・船尾教授役の滝沢修をみて思い出し、滝沢荘一『名優・滝沢修と激動昭和』(新風舎文庫)を引っぱり出して読み始める。
- 作者: 滝沢荘一
- 出版社/メーカー: 新風舎
- 発売日: 2004/10
- メディア: 文庫
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*1:矛盾する云い方だが、本当にそう感じた。