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―にとべさん―

 

「あ、そう」

天皇ヒロヒトを一人の人間として描いた映画『太陽』を、十三*1にある〈第七藝術劇場〉で観た。いろんな意味でおもしろい映画だった。ときには館内に笑い声が起こることも……。足をひきずって行った甲斐があった。


戦争末期、地下壕で独り暮らす天皇ヒロヒト。まわりには侍従など、たくさんの人はいる。しかし、そこに心はない。食事の時も一人、研究をしている時も一人、誰かと話している時も一人……。常に孤独で苦悩する男。

彼を神の子孫だと言う侍従たちに、天皇は「私の体は君たちと変わらない」と笑う。また彼は「私は誰からも愛されない」とつぶやき、遠く離れて暮らす皇后と皇太子たちを想う。ときには、精神を病んでいるのではないだろうか、と思うような言葉も発する。

まわりの人間から話しかけられた時につぶやく「あ、そう」という言葉も、その相手にではなく、自分自身に向けて発せられたモノなのかも分からない。

一人芝居のような人生をおくる天皇ヒロヒトを、イッセー尾形が演じたのは必然と云ってもいいように思う。


ちなみに、この映画は日本の作品ではなく、ロシア・イタリア・フランス・スイスの合作。監督はロシア人のソクーロフ氏。この映画は日本では作れないでしょう。公開さえ危ぶまれたくらいだから。
 

*1:最近、仕事で十三にかよっているので観に行きやすかった。ラッキー!