無自覚が一番こわい
稲泉連『僕の高校中退マニュアル』(文藝春秋)を読了。著者が高校を中退し、大検を経て大学に合格するまでを描いたノンフィクション。さほど期待せずに読んだからか、意外に面白く読むことができた。
この本の冒頭に、著者が高校を中退するキッカケとなる出来事(柔道着をゴミ箱にほうり込まれる)を記した後段に次のような記述がある。
その行為は、僕をからかうために行なわれたのではなく、ただ単に、そこにいた二人の暇つぶしにすぎなかったのだろう。
彼らは、そうすることによって、どれだけ、人を無意味に傷つけるかを理解していなかったのだろう。
最近、ニュースで騒がれている虐めの何が一番の問題かというと、虐めている側の人間に、その自覚がないこと。だから、虐めた人間を出席停止にして指導するとかいうことで、この問題を解決できるはずがない。もっと根本的なところから変えていかないとダメだと思う。