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―にとべさん―

 

『大阪自叙伝』を探せ!

昼前に家を出て梅田へ。

旭屋本店に行き、取り置いてもらっていた本を受け取る。ほかの本もゆっくり見たいところだが、今日は次の予定があるので、ざっと流すだけ。

店を出て、御堂筋に沿って南に歩く。目的地は大阪府中之島図書館。林哲夫さんの講演会『「雑誌”辻馬車”と波屋書房の周辺」ー大阪出版史の一齣ー』があるのだ。

中之島図書館は、まず入口で鞄など荷物をロッカーに預け、身体一つで入館する昔ながらの方式を取っている。ちょっと面倒くさい。


本日の演題に関しては、まったくと云っていいほど何も知らない。さすがにそれではマズイと考え、予習のために藤沢桓夫『回想の大阪文学』を読んだ。これがすごく面白かった。

この本の中に、『辻馬車』と波屋書房に関する次のような記述(口述)がある。

ぼくらが高等学校時代に出した同人雑誌『辻馬車』を出版してくれ、編集もしてくれたのは、波屋書房の主人の弟の宇崎祥二君だったのです。店をやっていて、眼鏡をかけた若いきれいな人だった。
(中略)
それで同人費は月5円であって、その時同人は十二、三人いたんだから、まあいくらかのお金になるんだけど、振り返ってみたらいっぺんもぼくらは出した記憶ないですね(笑)。たしかにだれもないと思いますよ(笑)。そういうことからいっても彼は実にありがたいぼくらのパトロンでした。

とりあえず、波屋書房(宇崎祥二)はパトロンとの情報だけを得て今日に臨む。



講演は、図版や写真を多用してすすめられ、門外漢の自分でも非常に興味深く理解しやすいものだった。話の内容は、藤沢桓夫『大阪自叙伝』をもとにし、それにさまざまな情報を肉付けしていると、林さん自身がおっしゃっていた。

個人的には、『辻馬車』(32号)に掲載された橋本スミの詩がきっかけとなり、宇崎祥二がアナキストに襲撃され、終刊をむかえたというエピソードが強く印象に残った。

あと、『大阪自叙伝』を指す「あまり名の無い人のことを書き残すのが名著の条件です」という林さんの言葉に共感をおぼえた。

やっぱり『大阪自叙伝』を探し出して読み直さないとアカンな。じつは、予習で読もうと思ったのだけど、どうしても見つけ出せなかったのだ。どこに行ってしまったのかなあ。


このあと、山本善行さん、大島なえさんと3人で〈貸本喫茶ちょうちょぼっこ〉に行ったのだけれど、それはまた明日にでも書きます。力尽きました。