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―にとべさん―

 

25年前の小説に現代をみる

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今では疫病だの流行病といったもの、それ自体が、流行遅れになってしまった感がある。いざ新しい疫病が流行りだしたとき、対応する知恵を人々は身につけているのだろうか。いや、人々だけではない。役所や病院も迅速に手を打つことができるのだろうか。

脳炎発生から二カ月が過ぎてみれば、サラリーマンは普通通りに通勤し、農業従事者は畑に出て、主婦は必要最低限の買物をするようになった。人間の緊張感や注意力などというものはいつまでも続かないし、それ以上に生活上の必要がある。自分だけはだいじょうぶ、そんなにひどいことにはならないだろう、と楽観視して普通の生活に戻ろうとする


 


篠田節子『夏の災厄』(角川文庫)

1995年に毎日新聞社から書き下ろしで出版されたときにも面白く読んだ記憶はあるが、この状況下で読むと面白く、且つ、より切実なものとなった。

そして一番怖いのはウイルスではなく、やっぱり人間であることを再確認した。

文庫にして600ページを一気読み。