【ホーム:いらっしゃ~い
 
【Twitter:nakedsong_lg0
 
【Instagram:nakedsong_lg0
 
ご意見ご感想は、コチラまで
 
―にとべさん―

 

新書らしい新書

人名用漢字の戦後史 (岩波新書 新赤版 (957))円満字二郎人名用漢字の戦後史』(岩波新書)を読んだ。それぞれの時代が、名前の漢字制限にどのような影響を与えたのかを、たんねんにたどったもの。


本書の終わり近くに

現代の日本人は以前にくらべて文章を書く機会が格段に増加した。それはコンピュータや携帯電話を使っての行為ではあるが、それにしても多くの人が、日本語を日常的に、なんの気負いもてらいもなく書くようになったことは、疑いもなく素晴らしいことだ。これほどたくさんの人が、日常生活で大量に文章を書くというのは、これまでの日本文化の中では未曾有の事態なのである。

という、阿辻哲次氏の文章を引用し、そのあとに

インターネットと電子メールの普及によって、人々は、自分の考えていること、思っていることを、文字によって表現することを覚えたのだ。それまでほとんど手紙を書かず、要件は電話で済ませていた人々が、今では電子メールを多用する。(中略)さらに、ホームページの普及、そして近年のブログの盛況は、それまで限られた人にしか許されなかった、新聞・雑誌・書籍などでしか実現できなかった自己表現を、あらゆる人々に開放したのである。一億総表現者時代の到来である。

と、著者はいう。

敗戦直後、「だれにでも使いこなせる国語」を目指そうということで、漢字制限(人名用漢字、当用漢字)が始められた。ある意味、今この目標に近づきつつあるのではないだろうか。「使いこなせる」ということに関しては、少しの疑問が残るが。