読了
『私たちはなぜ狂わずにいるのか』春日武彦(新潮OH!文庫)
精神科医である著者が、精神分裂病(統合失調症)はなぜ起こるのか、その治療法は?、それを治療するうえでの精神科医の限界、回復までのアプローチなど、多面的に述べたもの。
思考は、停止してしまいがちないっぽう、間違った方向へ一人歩きしていきやすい性向をも持っている。ことに自分が被害者的な気分でいるときには、邪推や妄想へ向かって思考は突き進みがちなようである。
という記述を読み、あわわっ、自分のことを云われてる、と思ったり。
1935年にリスボン大学神経学教授のモリスが試みた両側前頭葉白質切截術(狂った脳の一部を手術で切り取ってしまえば、電線を切断されたラジオが沈黙するように、狂気の症状が鎮まるだろうという強引かつ超アバウトな治療法)とは、どんなことをするのかという説明を読んで、脳ミソがチクチクしたり。
そのモリス教授が、1949年にノーベル医学生理学賞を受けているのも、なんだかな〜やし。
いろんな意味で刺激的な本だった。
電気ショック療法が合理的な理由で、今でも用いられていることにも、ちょっと驚き。