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―にとべさん―

 

親であること

久しぶりに息子を殴った。彼を、こんなにちゃんと殴ったのは、いつ以来だろうか。

彼は今、痛さと、いらだたしさだけしか感じていないだろう。どうして自分が殴られなくてはいけないのかと。もしかすると、いつまでも本当の意味は分からないかもしれない。いや、その可能性のほうが高いだろう。それでも、今のボクには彼を殴る(叱る)義務がある。


彼は、いま14歳。徐々にボクたちの庇護のもとから離れていっている。これからもボクたちのもとから少しずつ離れていく。近い将来、彼が過ちを犯しても、今回とまったく同じように殴ることはできなくなる。殴ってはならない時がくる。

そうなった時、彼の過ちを親身になって指摘してくれる先輩や友人をつくっておいて欲しい。そして、その人たちの言葉を受け入れる勇気と、お互いの考えを理解しあえる言葉を、獲得していて欲しい。


ボクたちは、いつまでも彼の親であり続けることはできる。しかし、保護者であり続けることはできない。その時のために。