【ホーム:いらっしゃ~い
 
【Twitter:nakedsong_lg0
 
【Instagram:nakedsong_lg0
 
ご意見ご感想は、コチラまで
 
―にとべさん―

 

うつくしい日々

先日、息子が出場する試合の応援に行き、のぶとい声を出しグランドを駆け回る彼の姿を見ながら、ずいぶん大きくなってしまったなあ、という感慨を抱き、少し寂しくなった。


彼は、野球を真剣にやるまでは電車が大好きで、いわゆる鉄ちゃん予備軍だった。

絵本を駅にみたて、家中ところせましと駅を配置し、自分で架空のダイヤを組み、何台もの模型電車をひとりで忙しそうに、そしてうれしそうに走らせていた。寝るときにも枕元には必ず模型電車が置いてあった。

実際に電車に乗ったときは、たいがい先頭車両に乗り込み、運転席をじっと覗き込んでスピードメータなどの機器を、なめるように見つめる。

そして電車から降りると、先ほどまで自分が乗っていた電車が走り始めるのを待ち、その電車に向かって力いっぱい手を振り、大きな声でバイバイと叫んでいた。そうすると手を振り返してくれる車掌さんもいるので、それもうれしかったのだろう。



こうして今振り返れば、あの頃もよかったなと思えるけれど、あの頃はあの頃で、彼が早く大きくなって自分の時間がもっと増えればいいのにな、と思っていた。勝手なものだ。


過去はすべて美しく、未来には常に希望がある。これは誰が言った言葉だったっけ。