2009年読書メモより
今年、印象に残った本をふり返ってみたいと思います。
- 『僕の読書感想文』近田春夫(国書刊行会)
- 『芥川賞を取らなかった名作たち』佐伯一麦(朝日新書)
- 『自分の羽根』庄野潤三(講談社文芸文庫)
- 『明るい夜』黒川創(文春文庫)
- 『余韻の中』天野忠(永井出版企画)
- 『なつかしい本の話』江藤淳(新潮社)
- 『対論・異色昭和史』鶴見俊輔/上坂冬子(PHP新書)
『僕の読書感想文』は、ほとんどが自分の感性だけで本を取り上げているのが格好よかった。ぼくも来年は、あふれる情報に振りまわされることなく本を読んでいきたいと思う。来年の目標「時代遅れの読書」。
この本に関連して、『ぐるり』(2009/4号)の「近田春夫インタビュー」(聞き手は南陀楼綾繁さん)も、おもしろかった。古本屋に行くようになったのが、この連載を始めてからだというのが、ちょっとおどろき。
『芥川賞を取らなかった名作たち』を読み、読みたい作品、読み返したい作品が、また増えた。来年は、自分だけの「芥川賞を取らなかった名作たち」を探そう!
『自分の羽根』は再読です。この本は自分にとって、とても大切な随筆集です。これからの人生のなかで、たびたび読み返すことになるでしょう。それにしても、自分の前に飛んできた羽根だけを羽子板の真中で打つことの難しさよ。
実家の本棚から持ってきた『山の上に憩いあり』を、もうすぐ読む本コーナーに積み上げてあります。
『明るい夜』は取り上げた中で唯一の小説です。黒川創さんの他の作品(ノンフィクションは除く)は、それほど心に残らなかったけれど、これはもう数回読み返しています。
〈カフェ・マーサ〉で、おおはた雄一のライブが始まるのを待ちながら、この本を読んでいた光景が、よみがえります。(6月6日)
長い間探していた『余韻の中』を、ようやく9月に入手した。自分の手もとにあるのはうれしいけれど、でもなぜか一抹の寂しさもある。複雑な古本心理。もちろん内容もよいです。これも折々に読み返すだろう一冊。
『余韻の中』とは逆に、『なつかしい本の話』は古本市などでよく見かけたのだけれど、なぜか今まで買わなかった。105円のシールを貼られ、ぽつねんとブックオフの棚に置かれていたので買ってみた。
一読、これがとっても素晴らしい随筆集で、これをきっかけに江藤淳さんの他の作品を、あらためて読み始めました。手始めに『文学と私・戦後と私』(新潮文庫)を。
『対論・異色昭和史』は図書館で借りて読んだのですが、買って読めば良かったと後悔しています。思想・信条の違うお二人が、お互いの考えをぶつけ合う、その姿が清々しい。感動しました。
ちょっと大袈裟かも分からないけれど、戦争のない世界をつくるためのヒントが、この本のなかにあるのではなかろうか。個人的には、「笑い」も大切な要素だと思います。