歯ごたえ十分
星野博美『銭湯の女神』(文春文庫)を読了。
いろいろ考えさせられることの多いエッセイ集だった。本が付箋だらけでブタになってしまった。
本書の「キレる若者より怖いもの」というエッセイで、携帯電話の普及に比例して、公共空間でも私的空間のように振る舞う若者が増えたと述べたあと、著者は次のようにいう。
私たちは確かに物質的に豊かになり、いろんな道具を手にした。道具は私たちの生活を便利にし、他者と関わらずに物事を遂行できる気楽さをもたらしてくれた。
道具を手にしたら、それまでに必要だった膨大な時間と手間、つまりプロセスを省けるようになった。プロセスをはしょれるようになったということは、何かを学習する時間を失ったということである
私たちは新しい道具を一つ手にするたび、また一つ、学習し思考する機会を失う。学習しない人は、恥をかかないからいつまでたっても鈍感だ。この社会には鈍感な人たちが増えている。
昼間のあの女性も……
そういうボクも、気づかぬうちに鈍感になっているはず。気をつけなければ。