四日市の古本屋
先日、ライブを観るために四日市に行ったとき、当日の昼間と翌日の数時間を使い、四日市と名古屋の古本屋をまわった。
まずは近鉄四日市駅から歩いて10分弱の所にある〈文港堂〉。四日市港の近くにある古本屋だから〈文港堂〉なのかな。
大通りの東海道沿いにあるのだが、看板も均一台もないので、一度通り過ぎてしまった。出かける前に印刷したグーグルマップをぎゅっと握りしめ、やっと到着する。
店内は、左右の壁沿いと中央に、天井まである高い棚があり、奥行きもある。思っていたよりも本の量が多い。新しめのエンタメが中心だが、棚の最上段には黒っぽい文学書や詩書もある。文庫も豊富で、絶版品切れ書もちらほら目につく。
棚を物色しながら店奥の帳場に目をやると、店主は気持よさそにお昼寝中。おかげで気がねなくゆっくり見ることができた。
ひと通り見おえ帳場に近づき、少し大きな声で「これ、お願いします」と云うと、えらい驚いて「わおっ!」と店主が目を覚ます。
ぼくが差し出した2冊を手に取り、なにか申し訳なさそうに「300円ですね」と、なぜか値札の半額を云われた。
佐藤泰志『大きなハードルと小さなハードル』(河出書房新社)、三木鶏郎『私の愛する糖尿病』(ちくま文庫)を抱えて店を出る。